研究

組織知能を複数の観点から研究しています。

効率とイノベーションを両立させる「意図的パーターベーション」

組織のシミュレーションに使うグラフのイメージ

組織のシミュレーションに使うグラフのイメージ

組織は効率を追求すると柔軟性を失うことが多いです。簡潔に言うと、効率を高めるために既存の知識をいかしますが、既存の知識に頼り過ぎてしまうと新しい知識を作る能力を失います。トヨタを事例にしながら、効率とイノベーションを両立させる仕組みを研究しています。成熟した組織は内部のプロセス(ルーティン)を意図的に不安定にさせないと組織が固定化して、学習と成長が止まってしまうと仮説しています。革新の機会をつくるために組織が自ずから内部のプロセスに不安定を起こすことは「意図的パーターベーション」と呼んでいます。

現在は既存の知識を活かすこと、新しい知識を作ること、そして意図的パーターベーションの相互作用を明確にさせるために新しいコンピューター・シミュレーションを構築しています。

コンピューター支援組織

この研究ではコンピューター・システムと組織のケイパビリティ(能力)の関係を調べています。ケイパビリティというのは、特定の事情において特定の結果を予想通りに確かにもたらす能力のことをいいます。こうした能力は、ルーティンという安定的な行動パターンから生まれます。例えば自動車会社では、安定的な生産工程から車を製造するケイパビリティーが生まれます。

コンピューター・システムを導入すると組織のケイパビリティに複雑な影響が出ます。博士研究では、「スケーラビリティ」という、事業を拡張させるケイパビリティーに焦点をおきました。スケーラビリティの高い企業は競合他社より速く成長することが出来ますから、市場シェアを延ばしたり規模の経済を獲得したりして、有利な立場になります。コンピューターを上手にいかせば人間の頭をより有効に使うことが出来、結果的により速い成長が可能になるという仮説を立て、そして200社以上の中小企業からデータを集めて仮説を証明しました。

今関心を持っているのは、コンピューターに促されているケイパビリティの構造変更です。かつてはケイパビリティの基礎となる情報処理ルーティンは組織の中に固まっていましたが、コンピューター・システムの影響によって複数の組織をまたがる分散型ケイパビリティが重要になってきています。こうした分散型ケイパビリティを「ケイパビリティー・エコシステム」と名付けています。人間とコンピューターを組み合わせる「コンピューター支援組織」は自然にケイパビリティ・エコシステムの構造になっていく理由を説明する理論を構築しています。

資本主義の再設計を目指す「公益資本主義」

英米流の資本主義は深刻な問題を抱えているということが最近明確になっています。より公平で持続可能な市場経済を構築するに当たり、公益資本主義を東京財団とアライアンス・フォーラム財団と共同で研究しています。