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公益資本主義が定着し始めている

公益資本主義の研究プロジェクトをスタートしてから3年。先進国の経済的なトラブルが続く中、公益資本主義という概念が定着し始めているようです。まずはオンラインの辞書に乗りました。

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そしてトヨタ自動車の豊田社長がテレビインタビューで下記のように使ったそうです。

豊田社長は雇用を守ることについて、今は石にかじりついても守ると言っているがそうならなくなる状況もあると話した。大企業こそが中小企業の発注者なのを理解して欲しいと話した。豊田社長は公益資本主義の土俵の中で成長をしている限りは応援してもらえると話し、成長し続けたいと話した。」(リンク

公益資本主義 講演録の掲載

3月4日に交詢社で公益資本主義について講演をしました。交詢社は銀座の交詢社通りにある、福澤諭吉が1880年に作った「日本最初の実業家社交クラブ」。演題は「21世紀の三方よし これからの資本主義」でした。交詢雑誌に掲載された講演録を、交詢社の許可の下でシェア致します(財団法人交詢社『交詢雑誌」第552号平成23年5月20日発行)。

講演の場のご提供、講演録の転載へのご協力、交詢社の皆様に厚く御礼申し上げます。

ニュースレターを始めました

公益資本主義の研究を進めるに当たり、世界経済の動向を分析するニュースレター「DJBクォータリー」を始めることにしました。第一号の内容はアメリカ経済の動向、自治体の財政赤字と支出の削減、労働組合の衰退、ゼネラル・エレクトリックの税逃れ活動、マネー・ゲームの復活、そして公益資本主義に関連するマイケル・ポーター先生の最近の研究のご紹介です。英語ですが、ご関心のある方、ぜひご覧下さい。こちらからダウンロードできます。メーリングリストに追加されたい場合はご連絡ください。

【アップデート】東北大地震における分析を加えたらどうか、と日本の友達からコメントを頂きました。改訂版はこちらからダウンロードできます。

燃やさない文明は可能 スタンフォード大学の教授

前に東京大学の村沢特任教授が提案する「燃やさない文明」を紹介しました。燃やさない文明は果たして可能だろうか。スタンフォード大学のジェイコブソン教授(Mark Z. Jacobson)の研究によると20〜40年で実現できるそうです。技術的なハードルも経済的なハードルも乗り越えられますが、必要なのは決心とリーダーシップ。日本に期待したい領域です。

A new study – co-authored by Stanford researcher Mark Z. Jacobson and UC-Davis researcher Mark A. Delucchi – analyzing what is needed to convert the world’s energy supplies to clean and sustainable sources says that it can be done with today’s technology at costs roughly comparable to conventional energy. But converting will be a massive undertaking on the scale of the moon landings. What is needed most is the societal and political will to make it happen.

詳細はこちら

「21世紀の資本主義社会に向けて」

日本印刷技術協会の月刊誌「JAGAT info」の8月号に小生の講演のまとめが掲載されました。こちらからダウンロードできます。編集者は記事を下記のように紹介しています。

20世紀をリードしてきたと言えるアメリカの経営も日本の経営も、今は問題を抱えている。いわば他者の利益を奪うことで自分たちの利益を最大化しようとするゼロ・サムの経営に陥っている。そこにある利益は、まさに自分たちだけの私益である。しかし、利益は私益だけではない。共益という仲間と一緒に利益を得ることや、公益というものもある。21世紀における新たな「資本主義と公益の関係」について考える。

日本企業がグーグルから学べること

日本的な経営を深く尊敬していますが、日本企業はイノベーション能力が足りないことも事実だと思います。そうじゃなければ日本経済が20年も停滞することはなかったでしょう。そこでグーグルから学べることがあるかも知れません。失敗を称賛ことです。

グーグルは去年発表した次世代コラボレーション・サービスの「Wave」の開発を中止にし、失敗だと認めました。これについて社長のエリック・シュミット(Eric Schmidt)は下記のように話していました。

We try things … we celebrate our failures. This is a company where it’s absolutely okay to try something that’s very hard, have it not be successful, and take the learning from that. (TechCrunch)

小生なりに日本語に訳しますとこういうことです。

我々は試してみるんです。我々は失敗を称賛します。この会社では、とても難しいことを試して、成功せずに終わって、そしてそこからの学びを得ることが全く大丈夫なんです。

日本企業で「we celebrate our failures」と言える会社はほとんどないでしょう。日本の伝統的な経営はむしろ失敗に対して極めて厳しいと思います。通常の業務を効率よくこなすことにおいてはよいのかも知れませんが、イノベーションを壊してしまいます。

公益資本主義の研究報告書

公益資本主義研究の報告書が東京財団のホームページに載りました。アメリカ流の資本主義の問題点を分析し、新しい「公益資本主義」の必要性を説明しています。

※ 報告書の図表がおかしくなっているようです。報告書の改訂版が出来るまで、イメージをここに載せておきます。